彼女の名誉の為に言っておこう。 学校のテストを教員である親が 前もって教えたという事では無い。 学校のテストに準じた教材、 即ち予備試験が家庭内で 行なわれたのである。 それらを演習問題とし頭脳に叩き込む その作業が人生の早期から可能だった。 それが彼女の幸運とも言えた。

彼女は美しかった。 天賦の才能に恵まれていた。 いや、むしろ両親の 溢れる愛によって 天才少女は作られたのだ。 両親は理想的な教育環境を 少女に与えていた。 小学校に入る前から 基本的な知識は全部、 優秀な頭脳に入っていた。 それだけではない。 予めテストに出て来る...

衝動的に彼女は8歳年下の乳児に 虐待を始めていたのではない。 計画的にそして作為的に 虐待を開始したのである。 可愛らしい子を見ると 即座に殺意が芽生えるのだ。 本能的に突然手が出る。 それも全て計略の上だ。 実際の「手」だけではない。 あらゆる手を打つ事に長けていた。...

左右両刀使いには意味がある。 天から授かった手先が器用な能力。 さらにはY子がピアノを 弾くための前段階である オルガンを母親から習い 演奏するために 両刀使いを覚えたのだ。 Y子が器用であることには 違いはなかった。 その器用さという能力を 駆使して幼子を虐待していたのである。

パチーン！バシーン！ そのギャングエイジの女児は 器用にも両手を使い左右から まだ3歳にもならぬ子供の両頬を打っていた。 平手打ちであるから殴るという事には ならぬのかも知れぬ。 しかし、幼い子供の頬は 見事に腫れ上がっていくのだった。 成長期にある女子の身体の敏捷性と...

「この子、おかしいよ!?」 ある日姉のヨーコは言った。 幼い弟はまだ幼稚園にも 上らぬ年齢の離乳したばかりの ヨチヨチ歩きの幼児だった。 両頬が赤く腫れている。 ヨーコが平手打ちを 繰り返していたからだ。 「この子、おかしい！」 自分が暴力を振るっても 何ら反応しない事に...

彼は幼児期から 頻発する母親の 精神的拷問によって 自閉症だと言われた。 教育機関に勤める母だ。 少々、精神領域の 知識がある。 それを利用し 自閉症として自ら 認定してしまったのだ。 そこには姉の存在が 大きな要素を占めていた。

それは彼も同じだった。 彼は母親からの虐待組だったのだ。 執拗に長時間同じ言葉を使って パターン化させた技法で 精神的拷問は限りなく続く。 母である。必ず理解し 優しい母親に戻ってくれると 彼は自分を犠牲にして 忍耐強く拷問に耐えていた。 脳に及ぼす影響は 計り知れない。...