彼は、自身の経験を通して、許しがもたらす力を、多くの人々に伝えたいと思った。彼は、許しが、憎しみや復讐心といった負の感情を乗り越え、真の平和を実現するための鍵であり、種子であることを、人々に伝えたかった。同時にそれは修練というよりは、人間にとって真の歓びを生み、人生を深く味...

彼は、許しが単なる感情的な行為ではなく、深い認識と共感に基づいた、意識的な選択であることを理解した。それは、相手の立場に立ち、相手の苦しみを理解し、そして相手を許すという、困難だが、最も人間らしい行為ともいえる。許しは、彼の心に平和をもたらした。それは、内面の葛藤からの解放...

－ 真の勇気とは 　 　彼は、自身の心の底に沈殿していた、怒り、憎しみ、そして復讐心といった厳しく冷たい感情が、あたかも長い冬の間に積もった雪が、春の訪れとともにゆっくりと溶け出していくように氷解し、平穏な心を味わっていた。そして、その雪解け水が、春の小川の流れのように彼の...

彼は思った。「強くなる」とは、自身にとっての最大の怨敵を許す事だと。また、彼は深く身を持って感じていた。その境地を。その悟達を。彼に真の平穏が訪れたのである。早春の夜明けに感じるあの感覚にも似て身も心も凍え何ものかに束縛された緊張がフッと抜けて心地良い感覚が訪れたのである。...

虚構と現実と真実と 　もしもそれが創作であるのなら、フィクションと明らかに示すべきではないか。創作によって文章が作られ作品が成された時、初めて作家と名乗れるのである。その一方で、事象を万人に厳格に説明するべき立場にあるそれらの自称作家達は、文章で描いた事象と実際との乖離と矛...

創作をしていないのに作家と標榜する人たち －作家と文筆家の違いは何であるのか。 　昨今、作家ではなく文筆家、或いは著述家、論述家と呼ばれる人たちが、自ら作家を標榜するケースが散見される。文章を記述する者にとっては文の持つ「意味」や「語義」など言葉の表現や言い回しにはとても気...

人間の価値は、帰属する家系や組織であるとか、保有する財産、人種、性別などのジェンダー、学歴と肩書によって決まるものではない。使命とそれによる業務、仕事などの「行動」と「行為」、さらには「言動」によって、その価値は決まるのである。 ...

更なる決意と実践－夢、誓願を具現化するために 　しかし、彼は孤独だった。ひとり奮戦してもすべての行為は虚しく空回りして行くだけだった。そこで、彼は更に決意をする。人間は決意の連続なのである。一度の決意でダメなら二度すれば良い。二度でダメなら三度四度と幾度も決意すれば良い。...